創業1852 嘉永5年

名張市本町55
電話 0595-63-2573
代表者 藤井 善子

■ 取扱商品・サービス

 栗ようかん、水ようかん、最中の3種類ですが、水ようかんは冬場のみの販売です。進物用のす巻きのイグサも手作りです。

■ 事業の沿革

 大和屋の創業は嘉永5年(1852年)で、初代藤井弥蔵が現在の奈良県橿原市醍醐町より現在地に移り住んで御菓子司を始めました。屋号の「大和屋」は、初代が奈良県出身であったことに因んだものです。現在、私、善子が後を継ぎ5代目になりますが、初代から3代目善次までは押しもの菓子を中心とした和菓子を作って販売しておりました。4代目艶子からようかんづくりに専念し、老舗菓子処、手作りようかん専門のお店として現在に至っております。
 初代弥蔵が建物を建てた当初は、まだ商いをしていなかったと聞いています。平成21年に登録有形文化財の申請をするに当たって調査してもらったときの話になりますが、低く抑えた厨子(つし)、漆喰壁に虫篭窓、煙出しのための越屋根などの特徴は江戸後期からの商家に多く見られることから、建築したのは菓子店を創業した嘉永5年よりも以前だそうです。3代目善次が写る、大正時代に撮られた写真を見る限り、店構えは現在のものとまったく変わっていません。今のかまどはレンガ積みですが、当初より菓子作りの窯として使用しており、小屋組のススなどの汚れから建築当初のもので、現在少なくとも90年以上は経過しているとのこと。昭和34年の伊勢湾台風により、店舗部分の東西の地盤が崩れ、間口がハの字に開いた形で2階床が北側に傾き、今もその状態のままです。

店舗は平成21年に登録有形文化財になった建物

■ 経営理念・特色

 今も創業当時と変わらず毎朝5時に起床し、かまどに火を入れることから一日が始まります。先代が残してくれた味は既に完成しており、お客様もその味を求めてお越しいただいていますので、その味を守り続けていきたいと思っております。

■ 創業170年「変わらないこと」の大切さ

 Q 1852(嘉永5)年の創業から170年、5代目としての思いを聞かせてください
 A 名張では昔から、婚礼などの折に日本酒とようかんを贈る習慣があります。かつては「おしもん」など和菓子全般を作っていましたが、母の代からようかん作りに専念するようになりました。
 今でも先々代の祖父や母のころからのお客さまが変わらず来てくださり、話に花が咲きます。「あのころと変わらん味やね」と言って頂けるのが何よりうれしいです。

 Q 製法や材料、道具など、昔から変わらないことは
 A 全てです。薪は杉・檜の間伐材を丸太の状態で室生から仕入れ、ヨキ(斧)を使って手作業で割ります。ようかんの原材料も昔と同じ「小豆・砂糖・寒天」のみで、早朝からその日その日の分だけ小豆をかまどで炊きます。シンプルな反面、味にごまかしはききません。国産い草の巻き簾や、包みを留める檜のひもも昔と同じです。

創業当時と変わらぬ製法で作られる栗羊羹(ようかん)

 Q 最近のことや、これからの抱負を教えてください
 A 1994(平成6)年に先代の母から店を継ぎ、ほぼ1人でやってきましたが、最近は主人が仕事の合間に、ようかんの本数によって異なる長さのものが必要になるい草の巻き簾作りや、薪割り、かまどの修繕などで助けてくれるようになりました。力の要る作業も多いので、手伝ってもらえるありがたさを感じながら、これからも変わらない味で作っていきたいです。