創業1912 明治45年

名張市夏見2828
電話 0595-63-3111
代表取締役社長 松本 充生
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牛馬による耕作風景
(大正5年頃)

■ 取扱商品・サービス

 トラクター用から自走タイプを含め、肥料などを散布する土づくり関連作業機や、牧草・稲わらなどの飼料を収穫・梱包するエサづくり関連作業機等、飼料自給率の向上や農業の省力化・効率化に寄与できる農業用作業機を豊富に取り揃えております。

細断型ホールクロップ収穫機(飼料用稲 刈取り・梱包作業機)

自走コンポキャスタ
(果樹園での肥料散布)

■ 事業の沿革

 弊社は、名賀郡名張町丸之内で創業者高北新治郎翁が牛馬用犂(スキ)の製造、販売を始めたことがルーツになります。梅田金物店に勤めながら熱心に犂の研究をしていましたが、独立して行商しながら犂作りを始めた明治45年を創業年と定めました。その後、昭和20年代までは各種犂、砕土機、除草機等の開発、昭和30年代には耕耘機用犂を開発し、これが世界的にも高い評価を得ました。昭和40年代にはトラクター用の作業機を開発し、その後畜産酪農用作業機を主力として開発してきました。平成11年に若山東男が第6代社長に就任し、農業機械を中心とした“ものづくり”の原点回帰へ注力。国策が飼料自給へと変化したことから、弊社も飼料作り用機械の開発を強化しました。牧草をロール状に梱包するロールベーラに改良を加え、平成15年にはトウモロコシを細かく切断しロール状にできる、細断型ロールベーラを発表。「餌作りの革命機」とも呼ばれ、高品質で栄養価の高い飼料を供給することで、日本の酪農界や食料供給に大きな貢献をしたことが評価され、「畜産大賞最優秀賞」など数々の賞を受賞しました。平成23年には松本充生が第7代社長に就任。平成24年に創業100周年を迎え、平成27年には東証・名証の市場一部へ指定替えも行いました。農業の構造的な環境変化に対応すべく、省力化や大型化、そしてスマート農業の実現に向けたICT化等、新たな農業機械の開発や改良に向け、本社内に走行試験場と試作工場併設の研究開発棟を新設し現在に至っております。今、全国には本社を含め13の営業・事業拠点があります。また、平成28年には、中国山東省に合弁会社を設立し、グローバル展開も進めております。

本社内にある製品展示場

■ 経営理念・特色

社是:「道をつくる」限りなき大空 悠々の大地
企業理念:鋭い感性、豊かな知性と果敢な行動力で、社会に貢献できる企業をめざします

松本社長

■ 7代目の松本充生社長(65)に聞きました。

「食」に関わる農機業界で革新を

 Q 創業者について、聞いておられるエピソードを教えてください。
 A 1912(明治45)年に創業した高北新治郎は、昼夜を問わず牛馬用スキの研究に没頭し、行商に走り回っていたようです。
 「一寸一穀」と言って、田んぼを一寸深く耕起することで米がたくさん収穫できることから、いかに牛や馬に負担を与えないで土を深く耕すことができるか、食糧難だった時代にそのテーマに挑戦することが日本の農業に貢献できると考えていたようです。
 また戦時下にあっては、軍の要請で軍需品の生産に協力するよう求められましたが、新治郎は「食料を増産することが国民を助け、国力を高めることになる」との強い信念で、その要請を断ったと聞いています。創業者は自分の信念を通す人で、直接指導を受けた人によると、仕事には非常に厳しく怖い人だったようです。

 Q 昭和の後半からは、畜産用の作業機の開発にも力を入れてこられましたね。
 A 創業以来、米作りのための耕起作業機の生産が中心でしたが、71(昭和46)年の米の減反政策が始まったころからは耕起作業機一本では会社の業績は成り立たなくなるため、徐々に畜産分野の製品開発に転換していきました。
 牧草を刈り取って1つの固まり(ロール)にし、ラップして発酵させ、そのまま牛に与える製品「ロールベーラ」は、それまで酪農家が飼料をサイロに蓄えて発酵させ、冬場に取り出して食べさせるという重労働から解放しました。またトウモロコシを1センチくらいに細かく切断し、圧縮梱包してラッピングし、発酵させそのまま牛にエサとして与える製品(細断型ロールベーラ)を2003(平成15)年に世界で初めて開発し、「畜産大賞最優秀賞」を受賞しました。 

 Q 創業100年を迎えた2011(平成23)年に7代目として松本社長が就任されましたが、これからの課題は?
 A 1つは積極的な海外展開により輸出比率を高めることです。食料の自給率の低下、人口減による消費量の減少で、農業分野においては国内マーケットだけでの事業拡大は難しい。現在、「細断型ロールベーラ」をヨーロッパの小規模農家をターゲットに販売しています。畜産分野では歴史が長く大規模農業の発展している欧州市場で戦うのは厳しいですが、ターゲットを絞ったニッチ戦略で世界市場に果敢に挑戦しています。
 もう1つはスマート農業やICT化に対応した新製品の提案です。そのための若い優秀な人材の確保や研究棟の建設などの開発への投資に、現在懸命に取り組んでおります。

 Q 会社が110年も続いてきた要因は?
 A 「食」に関わる農機業界には長寿企業が多いんです。「食」は永遠のテーマであり、そういうバックグラウンドで事業ができるのは恵まれています。とは言え、そこでも厳しい淘汰があり、時代の変化を見越した商品を開発して世の中に貢献してきた企業努力の結果でもあると思います。
 1962(昭和37)年に名古屋証券取引所市場第2部、翌年には東京証券取引所市場第2部に上場し、2015(平成27)年東証・名証市場第1部銘柄へ指定替えを行いました。皆さま方にお支え頂き現在に至ります。今後も世の中に役立つ物づくりに徹していきたいと考えています。

会社外観