創業1914 大正3年

名張市鍛冶町91
電話 0595-63-0050
代表者 布生 香代子
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■ 取扱商品・サービス

 看板料理は、創業以来守り続ける秘伝のタレを使った「鰻蒲焼」。関東風の背開きですが、蒸さずにこんがり香ばしく関西風に焼き上げており、関東と関西の文化が入り混じった、当店独自の調理方法で仕上げています。
 また、江戸川乱歩も好んで食べたという鯉の味噌煮込み「鯉こく」も名物料理のひとつ。1週間かけて泥抜きをした鯉は、継ぎ足しながら100年以上変わらぬ味を守り続きてきた白みそベースの秘伝のタレとともに、臭みのないまろやかな味に仕立てております。

1階には清風亭を利用した江戸川乱歩、松本清張、瀬戸内晴美などの文人のサインや写真を展示した「文人ゆかりの館」がある。(江戸川乱歩の写真とサイン)

■ 事業の沿革

 名張川で獲れたうなぎや川魚を使った料理を出したいと思い、大正3年(1914年)に現在地で料理旅館を開いたのが当店の始まりです。現在は私、香代子で4代目ですが、いずれ後を継いでくれる娘の淑子と雅子とともに店を切り盛りしております。
 名張を代表する作家、江戸川乱歩や、松本清張もかつて当店をご利用いただいておりましたので、その際にお書きいただいた色紙などを「伊賀まちかど博物館」『文人ゆかりの館 清風亭』として展示しております。
 店の裏側には名張川が流れており、創業以来そこで獲れたうなぎや川魚の獲れたてを調理し、お客様にお出ししてきました。
 創業当時は料理旅館でしたので、旅館の面影が残る落ち着いた和の空間で、名張川の風景を眺めながらゆっくりとお食事をご堪能いただいております。

2階の大広間からは名張川が望める。松本清張などの文人もこの部屋で泊ったという。

清風亭を利用していた松本清張の色紙

■ 経営理念・特色

 創業当時より、お客様との一期一会の出会いを大切にして参りました。我が家に帰ってきたようなくつろいだ雰囲気の中で美味しいお料理を提供し、皆様にご満足していただけるよう心掛けております。

我が家に帰ってきたようにくつろげる雰囲気の部屋

■ 昔からの味に会える店

 現在の店主、布生 香代子さん(75)と次女の雅子さん(47)に聞きました。

 Q 1914(大正3)年の創業だそうですね。
 A この建物は明治時代に建てられたものです。1914(大正3)年に正式に営業許可を取得し、この年が創業年になっています。当時より大阪などから訪れる人が多く、名張に10軒ほどあった料理旅館も繁盛していたようです。

 Q当初から鰻と鯉の料理を看板メニューにしていたんですか?
 A 新鮮な鰻を使った「かば焼き」は、関西風の腹開きではなく関東風の背開きです。これに串を打って蒸すのが関東風ですが、当店では蒸さずに関西風に直焼きし、昔ながらのタレを付けてお出ししています。
 「鯉こく」も関東では八丁味噌や信州味噌を使いますが、当店では代々、白味噌を使っており関西風の味にしています。

 Q 初めてでも利用できるのですか?
 A 昔はコース料理だけでしたが、今ではどなたにも気軽にランチを利用頂いております。インターネットで検索して来店される旅行客もあり、うな丼とう巻き、コーヒーをセットで提供しています。

 Q 昔ながらの和風建築を維持するも大変でしょうね。
 A 100年前の趣きをそのまま残しているので、夏は風が通って涼しいですが、冬は少し寒いです。でもお客さまは「こういう雰囲気を楽しみにして来たのだから、古いままでいいよ」とおっしゃいます。高齢の方も多いので、1階の2つの和室はテーブル席に改装しました。2階の30畳の大広間はコロナ前、同窓会や法事などにご利用頂いておりました。宴会などが楽しめる時代に、早く戻ってほしいですね。

明治時代の建物の清風亭外観

 Q 老舗の料理旅館を守っていく上で大事にしていることは?
 A 守るというより、時代の流れのままここまで来たというのが実感です。昔ながらの味や風情を守りつつ時代の流れにそって、このまま名張の町に清風亭が残っていければと思っています。

 Q 雅子さんは姉の淑子さん(49)とともに、清風亭を継がれると伺っていますが。
 A 昔と違って今は、おいしいもの、目新しいものがどこでも食べられる世の中ですが、清風亭に行けば昔から変わらない味に出会える、懐かしい雰囲気に出会えるという風に思っていただければうれしいです。皆さまにご満足頂けるよう、母と姉とともに頑張っていきたいと思っています。

昔懐かしい雰囲気が残る時計や階段。店を守っている3代目の香代子さん(右)と次女の雅子さん