創業1899 明治32年
名張市桔梗が丘5-12-5
電話 0595-65-4382
代表者 谷本 雅一
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■ 取扱商品・サービス
墓石、燈籠、玄関の貼り石など、石に関することは多様に対応させていただいております。また、近年では文化財の修復にも携わっております。
「進んでいく道」の決意や悩みを表現したアート作品を紹介する谷本社長
■ 事業の沿革
初代貞次郎は元々キセル職人をしておりましたが、器用さを買われ石屋の手伝いに行くようになりました。そこで学んだ石材加工の技術を生かそうと思い立ち、明治32年に石屋として独立しました。これが弊社の創業年になります。
初代と2代目は、主に石燈籠を作っていたようですが、戦後、3代目の頃から墓石作りに変わっていき、4代目である父の雅道が平成6年に法人を設立しました。現在、私雅一で5代目となります。
私は高等学校卒業後、4年間愛知県岡崎市へ修行に行き、修行2年目のときに技能五輪全国大会に出場して優勝しました。その後、さらに技術を学び身につけ、平成20年より父の跡を継いで現在に至っております。
2代目曽祖父・伝藏の時代の法被を持つ谷本社長。「展示会の時には着用しています」
■ 経営理念・特色
石を通じて人々の心に安らぎと幸せと満足を届ける。古来より受け継がれてきた伝統を守りつつ、社会の発展に貢献する。
私は、修行で身につけた技術を活かし、石工の伝統技術の保持と伝承に尽力し、守っていきたいと思っています。
2019(令和元)年には「黄綬褒章」を受賞した。
■ 修業期間に学んだ忍耐と感謝が私の原点
Q 18歳の時、愛知県で修業されたそうですね。
A 先代の父、雅道からの指示で、岡崎市にある大きな石材問屋で修業しました。高校を卒業しばかりで右も左も分からない白紙の状態で放り込まれた感じでした。若い修業生16人の中には修業に耐えられず、夜逃げする者もいるほどの厳しさでした。私はここで技術を学ぶ以前に「耐える」「辛抱する」という忍耐力や先輩に対する感謝の心の大切さを学んだように思います。これが、現在の私の全ての原点になっています。
Q 38歳で「現代の名工」と「技能グランプリ日本一」になるなど、業界最年少で数々の受賞をされていますが、元々手先が器用なのですか?
A 私はそんな風には思いません。ただ人には負けたくない、あきらめずにやり続けるという気持ちが人一倍強く、目標達成に向けて費やす時間が誰よりも長いというだけだと思います。
Q 店には墓石や燈籠の他にも、食器や花器などの工芸品もありますね。
A 石に関わるものは墓石からアート作品まで全て自ら作っています。現在、石材店の約8割は物販だけに移行しており、全て(石材加工、字彫、施工)を外注しているのが現状です。目先のビジネスを考えると、なぜ多くの時間、労力、工具を使ってそこまでやるのか理解できないと言われ、業界内で私は異色な存在だと思います。でも自分に確固たる技術があれば、いろいろな表現ができるし、新たなチャレンジもできて面白いと考えています。
Q 文化財の補修にも意欲的ですね。
A 文化財にはまだ2件しか関わっていませんが、石工(いしく)がどんどん減っていく中、誰かがその役割を果たし、文化財を後世に残していかねばなりません。ただ木で作られた仏像などの修復に比べて、石造物の修復は注目度が低いのが現状です。石造物を作るために石工がどれだけ優れた技術を使って尊い作業をされたのかを訴えることで、石造物の魅力や石工の地位を高めることに力を尽くしたいですね
Q 会社が120年以上続いてきた要因は?
A 祖父は1965(昭和40)年前後に石の切削、研磨など一連の作業の機械化を図りました。また先代は、石の外国製品がどんどん入ってきた中、自ら物づくりに精を出しながらも安価な外国製品も取り扱ってきました。時代の変化に遅れることなく、敏感に対応してきた結果だと思います。
Q 事業の継承については?
A 私は今45歳ですが、60歳までには若いころに修業したように全国から研修生を受け入れて全ての技術を教え、伝承していきたい、そのための受け入れ環境を整えたいと考えています。
店頭写真